男の美学..

2012-03-03

小生と一緒にバンドをやってくれてるワタナベ・カツヒロさん(83卒pf)という素晴らしいピアニストがいます。 小生より1つ若い世代で、彼がC年で初めて参加した夏合宿のC年オーディションで演奏した「枯葉」から既に明らかにBill Evansに傾倒しているプレイ。 自他共に認めるエバンス・フリークです。 但し「エバンスっぽく」とか「ナンちゃってエバンス風」みたいなのとは全く違っていて、エバンスという人の音楽に対するアプローチや生き様含めて、心酔していると言っても過言ではないと思います。 エバンスは後年には印象派のクラシック曲を凄く良く聞いていたのに似て、彼も良くクラシックを聞き、娘さんはバイオリンを弾いています。

しかし彼は決してエバンス風にしか弾かない訳ではなく、きちんと自分のスタイルを持っています。 ダンモ研のレギュラーを勤めていた時にはモダンな演奏を沢山しました。 彼は小生のバンド「The Quintet」ではモンクからハンコックまで、どんな曲でもこなす素晴らしい演奏家です。 「The Quintet」は結成してから今年で25年になりますが、この人無くてはありえない歴史を刻んで来ました。 よく長年つきあってくれていると思っています。

この人の音楽に対する「男の美学」のようなものを感じる事が出来る音源があります。 アップルのPodCastで「Jazz Piano Small Pieces」としてpublishされており、深く美しいバイカル湖の底に湧きだす聖水みたいな上質の音楽があります。 セッションやライブでは「勢い」で演奏してしまう事の多い自分には、「自分が何故音楽をやっていたのか」を想起させてくれる、或いは「良質であるが故に音楽は音楽としての価値を有する」と言うような原点に立ち返らせてくれるものです。 小田島先輩のMingleのコンサートでも感じていましたが、カツヒロの孤高の、でも万人が美しいと感じる事が出来るだろう音楽の世界を、少しでも多くの人に是非、触れて頂きたいと思います。 本人がシャイなので自称「Changee Watanabe」と名を茶化してますが(笑)。

やっぱり音楽やるからには「音」や「楽曲」に思いがあり、愛情込めて楽器や音に接することが大事だと思います。 Sessionやり過ぎて、やりなれた曲を勢いで処理してしまう、と言うような演奏は喩え酔ってても決してしないよう、心がけたいと思っています。 ところで、セロニアス・モンクのこんな名言をご存知ですか?

「新しい音(NOTE)なんてどこにもない。鍵盤を見てみなさい。すべての音はそこに既に並んでいる。でも君がある音にしっかり意味をこめれば、それは違った響き方をする。君がやるべきことは、本当に意味をこめた音を拾い上げることだ」 (Thelonius Monk)