ラテン・ジャズの注目盤を一つ

2012-03-09

このところの早大ジャズ研の学生さん達はどうか分からないが、我々の若かりし頃即ちモダン・ジャズ全盛期の60年代後半~70年代初頭にかけての頃に、コンガやティンバレスの入ったジャズ (今言う所のラテン・ジャズだが…) と言えば、チャカポコ・リズムの能天気なジャズとして、蔑視扱いする輩が多かった。かく記す小生などもその一人で、ルー・ドナルドソンやウイントン・ケリーなどの好アルバムでも、パーカツションが入るだけで見向きもしなかったものだった (反省!)。

それがいつからかラテン・リズムの魅力にはまってしまい、この10数年は新譜を買うと言えばもっぱらこの手のラテン・ジャズ・アルバムになってしまった。そして小生のラテン・ジャズの良き指南役が、ジャズ研の後輩にして同じラジオ局の制作マンとして一時一緒に仕事もした岡本郁生君 (1982年卒) である。先日の50周年コンサートでも全体の舞台進行プロデューサー役を務めた彼は、純ジャズの世界から鮮やかにラテン・ジャズ~サルサの世界に転向して以来、今やこの分野の大御所。外見もまさにNYブロンクスのワルと言った趣きで、彼とこれも同じ巨漢の眞瀬君 (1979年卒) の2人が並んで歩いていると、これは見ものと言うよりも凄みがあり、実際小生も青山の暗がりでこの2人から声を掛けられ、肝を冷やした覚えがある。

まあそんな雑談はさておき、このラテン・ジャズの権威、岡本郁生君が今回プロデュースを担当して、日本のラテン・ジャズの水準の高さを誇示するような良品を作ってくれたので、それを是非紹介してみたい。"崩れさる時代に躍れ" というキャッチのこのラテン・ジャズ~サルサの好作品のリーダーは、日本のティト・プエンテとの呼び声も高いラテン・ビートのトップ・リーダー、ウイリー・ナガサキ氏。

プロデューサーの岡本君自身が "音よし曲よし演奏よし!" と自画自賛しているが、決してオーバーではなくかなりな感涙・昂奮もの。あびる竜太 (p)、小泉哲夫 (b) など、ジャズ畑でも大活躍の中堅達に加え、"ディアマンテス" のアルベルト城間やSoil & Pimp・Sessionsの人気者、元晴やダブゾンビなど多彩なゲスト陣も参加し、アルバムを盛り立てる。

ウイリーさんのオリジナル "ザ・ストーム" や "ミッドナイト・ルンバ" なども仲々に血沸き肉踊る好ナンバーだし、師匠格のプエンテの "ケ・セラ" も気持ち良い。勿論ジャズ・スタンダードの "グリーン・ドルフィン・ストリート" やガボール・ザボの名品 "ジプシー・クイーン" のラテン化など、ジャズ・ファンへの目配りも忘れていない。

ウイリー~岡本の強力コンビによるこのアルバムは紛れも無く "世界最高レベルのラテン・ジャズ"

(敬愛する評論家、藤田正氏談)

であると同時に、実に愉しくも充実の楽天アルバムでもありますから、皆様も是非一度お聞きになってみたら如何でしょうかね…。

【1968年卒 鑑賞部・ジャズ・ライター / 小西啓一 (勝明)】

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著作権について


アルバムの情報

(以下、岡本さん本人より..♪)

私、岡本郁生 (82/b) がプロデュースしました、ウィリー・ナガサキ『ミッドナイト・ルンバ』。Vivid Sound、4月11日リリースです! レーベルのリンク先はこちら:
http://www.vividsound.co.jp/item_show[…]
※ 40秒だけですが各曲試聴できます。

この中の1曲「TA・MO」という楽曲は、昨年10月ウィリー・ナガサキが、"ラテンソウルの帝王" ことジョー・バターンとともに「笑っていいとも」に出演した際にひらめいたナンバーとのこと。勿論タモリさんにトリビュートしたものです。


CD sleeve image used by permission of the copyright holder.