ユーロのピアニスト (その1)

2013-04-28

武冨さん (鑑賞部 ’68) から


90年代中半に下手なピアニストのアルバムを買ってしまった。それはアメリカのブラッド・メルドーだったのだが、リズムへのノリが悪くいささかもスイングしておらず、メロディーもジャズでは聞いたことのないクラシカルなところがあって、下手な奴と一旦は切り捨ててしまったのだが…。

当時の自分にとってピアノと言えばハンプトン・ホーズでありオスカー・ピーターソンやウイントン・ケリー、あるいはマッコイ・タイナーやチック・コリヤであり、そしてビル・エバンスやキース・ジャレットだった。だがそのいずれとも異なったジャズであり、自分の理解を超えていたものだったのです。

ところが一度聞いただけで捨ててしまわず何度も聞き直すのが自分のケチな所であり、元を取らねばと何度か聞き直すのですが…不思議なことでした。聞くたびに彼の音楽が理解できるようになり、更に好きになって行く自分に唖然とするのでした。そして同時期に二人のユーロのピアニストのアルバムを買ったのです。

一人がスイスのティエール・ラングでありアルバムは『ビトウィーン・ア・スマイル・アンド・ティアーズ』でした。彼のピアノは今までにないクラシカルなリズムとメロディーで自分を困惑させるのですが、素直なクラシカル振りということもあってすんなりと入り込め、後のユーロのピアニストへの端緒となったのです。