ユーロのピアニスト (その4 最終回)

2013-08-31

Ernst Glerum / オランダ

Omnibus Two (Favorite 5)
    ジャズ大国オランダから登場です。
    実は『Omnibus One (Favorite 2)』を紹介するかそれとも『Two』にするか迷いました。
    というのも『One』の世界は、最近には無いノリの良い剛腕なタッチのピアニストが突如としてジャズ・シーンに現れたため、バップ・フアンには絶賛を持って迎えられ、良く売れたアルバムだからなのです
    また音が良いこともあってLPでもプレスされアナログ・フアンからも人気のアルバムとなりました。
    ただ『One』は、彼はベースも良くすることから、もう一人のベーシストとドラマーという超変則トリオで、多分に実験的な曲が半分もあるのです。
    私には低域をツインのベースでガンガンくる曲は面白く楽しめますし、ベース好きには勉強になる格好のアルバムではありますが、そうでない向きには飽きてしまうからです。
    その点『Two』はすべて彼がピアノに専念したトリオ・アルバムで誰にでも楽しめます。
    実に力強いタッチで軟弱な美メロ派を蹴飛ばす勢いがたまりません。
    と言っても、かの時代の黒々とした油濃いバッパーとは全く異なったモダンなスタイルで、これもバップ・ピアノの一例かと思わせます。
    Omnibusシリーズは現在『Four』まで出ていますが『Three』はベースに専念していてピアノは他人です、正直今一つの感は否めません。
    またこのOmnibusシリーズのパッケージは『Four』を除きレトロ・バスのカバーで、これも評判になっています。

Georges Paczynski / フランス

Levin’ Song (澤野工房 AS068)
    Paczynskiはドラマーですが敢えてここに紹介します。
    なぜ彼を紹介するかと言うと、良いピアニストを見つけてきては自分のトリオを編成して世に送り出して来るからですが、どのアルバムも素晴らしい出来だからです。
    このアルバムのピアニストは前作『8 Years Old』と同じメンバーでJean-Christophe Levinson (p)、Jean-François Jenny-Clark (b) と組んでいます。
    美メロ派にはたまらない一品なのですが、やさしさに満たされ、それでいて情に流されることのない叙情的なプレイはMirabassiと実に良い勝負なのです。
    このアルバムの素晴らしさはLevinsonのピアノにあることは勿論ですが、サポートのPaczynskiのドラムスが叩き過ぎることなく叙情的ピアノを最大限に飾り立てています。
    この手の新しい叩き方は、ドラムスを勉強している皆さんに参考になると思います。
    そして今は亡きJenny-Clarkのベースは、叙情派ピアノにはこれしか無いと思わせるサポートで、三位一体となったコラボレーションの妙味を教えてくれるのです。
    超絶技巧のプレイをお聞きください、生きていれば間違いなくユーロ最高のベーシストと呼ばれていたであろうと、私は思っています。
    ベースを学ぶ方の必聴アルバムでもあります。
    もう一枚『Generations』(Art & Spectacles ASCD060401) をご紹介します。
    ここではRenaud Palisseaux (p)、Laurent Fradelizi (b) とメンバーは変わりますが、傾向としては『Levin’ Song』と同じような叙情派ピアノです。
    このピアニストもなかなかのものでこの後紹介するイタリアのVincenzo Daniseのようなクラシカルなメロディーとタッチが面白いアルバムとなっています。
    そしてオーディオ・フアンには外せないアルバムでもあります。
    私はいまだにこのアルバムを超える高音質のアルバムを聞いたことがありません。
    超低域から超高域までフラットにダイナミックにそして楽器の距離感も申し分なく、それぞれの楽器の質感を生々しく伝えて来るのです。
    良い音だとついつい大きな音で再生してしまいます、隣近所にご迷惑を掛けないように願います。